今、話題の書籍 「隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働」 読了しました。
著者はルドガーブレグマン。オランダ出身の29歳。
歴史家、ジャーナリスト、ノンフィクション作家の方です。
社会学や経済学の訳本は読みにくいものが多い印象があるのですが、
本作は元々の原作が分かりやすく、翻訳された野中さんの手腕のおかげもあってか、非常に読みやすい一冊でした。
この方は主にベーシックインカムや週15時間労働制、国境開放などの社会政策を主張しており、「ピケティに次ぐ欧州の知性」とも呼ばれているそうです。
本作でも同内容を主張されてました。
過去の歴史を振り返りながら、現在の世界における社会状況やテクノロジーの進歩を踏まえながらの持論を展開。
世界中の先進国で同様の課題が山積みであること、また一見難しそうに見える施策も、実際は人間の意識改革とそれに伴う行動が重要であることを改めて認識することができた内容でした。
同カテゴリーの作品をここ数年で何冊も読んでまいりましたが、その中でも読み応えのある作品でした。
是非とも沢山の方に読んでいただきたい一冊です。
目次から興味深い内容ばかりでしたので、一気に読むことが出来ました。
私が個人的に関心を持った項目を抜粋させていただきます。
ご興味のある方は是非、本作を手にとってみてください。
・福祉はいらない直接お金を与えればいい
生活保護や母子家庭手当て、就学援助、幾多ある福祉プログラムを全てやめる。
そのかわりに全ての国民に、例えば一律年間150万円の金を与える。
それがベーシックインカム。
ニクソン大統領はその実施をもくろんでいた。・貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる。
ベーシックインカムがなぜ有効なのかは、貧困がもたらす欠乏の害を調査すると分かる。
貧困はIQを13ポイントも下げる。奨学金や有効な教育プログラムにいくら投資しても、そもそも貧困層にいる人は申し込まないのだ。・ケインズが予測した週15時間労働の時代
ケインズは1930年の講演で、「2030年には人々の労働時間は週15時間になる」と予測した。
ところが、産業革命以来続いていた労働時間の短縮は70年代に突然ストップした。
借金によって消費を拡大させる資本主義の登場。・AIとの競争には勝てない
産業革命時代、織物工は蒸気機関に仕事を奪われた。そして今、AIとロボットが「中流」と呼ばれる人々の仕事を奪う。
その結果、富の不均衝は極大化する。
今こそ、時間と富の再分配、労働時間短縮とベーシックインカムが必要だ。・「負け犬の社会主義者」が忘れていること
この本で提案したのは、大きな路線変更だ。奴隷制度の廃止、女性の解放も、唱えられた当初は、正気の沙汰とは考えられていなかった。
そうした「大きな政治」を左派は思い出し、右派も同調する変革へと進むべきだ。
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